首届人民中国杯日语国际翻译(笔译)大赛赛题
组别:社会组
项目:
日用品や生鮮食品など何でも買うことができるインターネット通販は、今や私たちの生活に必要不可欠なものになっています。一方で、荷物の量が急速に増え、物流業界では人手不足や配達の遅れといった問題が表面化しています。実はこうした問題、13億の人口を抱えるお隣の中国では日本以上に深刻です。そこで中国では、物流や流通などの企業が、ロボットやドローンなどを積極的に導入し、人の手をなるべく使わない「無人化」によって、こうした問題を乗り越えようとしています。
去年10月、上海の郊外にある倉庫がオープンしました。中国のネット通販大手会社の配送センターです。全面に打ち出されたのが「無人化」です。利用者からの注文に基づいて、配送に使う段ボール箱の組み立てや、棚に並ぶ商品のピックアップ、そして、梱包や配送先のラベル貼りまで、すべてロボットアームが行います。
さらに、荷物の仕分けも、センサーがラベルの情報を読み取って約80か所の配送先ごとに振り分けます。倉庫には無人のフォークリフトが並んでいて、トラックの近くまで荷物を載せたカーゴを運びます。ここまでの過程で人間の関与はほぼゼロ。以前はこうした作業に約50人が必要でしたが、今やモニターを監視する1人だけに減らすことができました。ネット通販最大手のアリババのグループ会社も、自社の倉庫でロボットを積極的に活用しています。
ロボットを使った無人化の動きが、なぜ中国で進んでいるのか?背景には日本以上に急速なスピードで配送する荷物の量が増えていることがあります。中国のネット通販市場は毎年30%ものペースで成長し、市場規模は日本円で約90兆円に達しています。これに伴って、配送する荷物の量は年間300億個以上、日本の10倍近くまで膨れあがっているのです。
京東では、無人化の取り組みで、1時間に処理できる荷物の量を従来の2倍から4倍に増やし、配送のミスを従来の3%から0.03%まで、100分の1に減らすことができたと言います。
中国の国土は日本の20倍以上、13億人が暮らしているだけに、ネット通販が普及すれば、それだけ企業にとって配送の負担が増すことになります。中には車の配送に不向きな険しい山間部もありますから、そうした地域にドローンを使った配送が効果的だと見ています。
物流以外の分野にも、無人化は浸透しています。その代表例が「無人コンビニ」や「無人スーパー」です。入店から支払いまでのすべての手続きをスマートフォンで行う店が最近、上海や広州などで見られるようになりました。中には、最初の入店の際に自分の顔を登録すれば、入店も支払いもスマホをかざすことなく、顔認証だけでできる店もあります。さらに、スマートフォンのアプリでガソリンの種類を指定したり料金を支払ったりできる「無人ガソリンスタンド」の計画も進んでいます。
中国でここまで無人化が拡大するその理由は都市部で雇用のミスマッチが起きているためです。13億の人口を抱える中国ですが、長年続いた「一人っ子政策」の影響で、すでに労働力人口は減少に転じています。さらに、これまで沿岸部の大都市中心だった経済発展が内陸部にも波及したことで、地方からやってくる出稼ぎ労働者の数が減り、物流や流通など比較的所得の低い業種の間で人手不足が起きています。このため、北京などの都市部では、ネット通販や量販店の配達を担う宅配業者の人件費が年間5~6%程度上昇していると言われています。しかし、それでも人手不足は解消されていません。将来より深刻になることが確実な人手不足に、いち早く無人化を進めることで備えたいー こうした狙いが、企業にはあると言えます。
将来の課題を見据えて、中国で先行する無人化の取り組み。人口減少がより深刻な日本にとって、学ぶべき点は多いのではないかと感じました。
——NHK吉田稔